第4回 膝痛にならないために (H20.4.20)

1 膝痛って何だろう?
膝痛の原因にもいろいろありますが、ここでは「変形性膝関節症」という病気による膝痛についてお話します。
この病気は、膝の軟骨がすり減り、膝が変形し、その結果膝が炎症を起こし、痛みを生じる病気です。
患者さんは、主に60歳以降の女性(男女比1対3)に多く見られ、特に太っていてO脚の人に多く、
中年以降の急激な体重の増加や、運動不足などが、この病気の原因の1つだと言われています。

 

2 どんな症状が起きるの?
膝の内側の軟骨が少しずつけずられ、骨と骨があたることにより、膝痛が出現し、膝窩は内側に傾き、
足はO脚に変形していきます。

ア.初期の症状
初期は、膝の違和感または運動開始時痛から始まることが多く、イスから立ち上がる時や、
歩き始めなどに現れます。しかし、すぐに痛みは和らいでしまうのが初期の特徴です。
なお、症状の進行は人によって様々で、朝の違和感だけがずっと続いて、
本格的な変形性膝関節症にならない人もいます。

イ.中期の症状
初期症状をある程度放っておくと、膝を伸ばす筋力が低下、つまり膝上の内側の筋肉がやせてきます。
これにより、階段の登り降り(特に降りるとき)がつらくなったり、正座やしゃがみこむ等の動作が苦痛になってきます。
また、炎症が起きてくるために、膝の周辺がはれたり、熱感をともなったり、水がたまってむくんだりしてきます。
この段階では、膝の変形がひどくなり、膝に力のかかる動きをするとコリコリ、ガリガリといった音が出るようになります。

ウ.末期の症状
さらに進行すると、日常生活に支障が起こるほどの痛みになります。
また、骨の変形が相当進んできますので、外見的にも関節の変形が目立つようになります。
歩いているときに膝のぐらつき(特に外側にぐらつく)や、膝おれ現象が出現し、膝が伸ばせなくなることもあります。

東洋医学では、膝痛の原因を次のように大きく分けています。
風痺(ふうひ)の膝痛 → 痛みの場所が、風がふくようにあちこちと膝の中を移動します。
湿痺(しつひ)の膝痛 → 重だるい痛みが持続します。主に、梅雨時や秋雨のころのような湿度の高い時期に現れます。
寒痺(かんぴ)の膝痛 → 冬場に多く見られるもので、冷やすと痛みが増し、温めると楽になるのが特徴です。
熱痺(ねつひ)の膝痛 → 赤くはれて熱を持ち、激しく痛みます。冷やすと楽になりますが、温めると痛みが増します。。
これらの他に、精神的なストレス(いらいら・怒りっぽいなど)も膝痛の痛みに影響する、と言われています。

 

3 膝痛を予防するには?
膝の痛みを予防するためには、日常生活を見直し、膝への負担をできるだけ軽くする工夫をすることが大切です。

「基本生活4原則」
原則1.「ウエイトコントロール!」
体重を減らすことです。膝には立っているだけでも全体重が、歩いて約2倍、
階段を降りる時には何と4倍の体重がかかるといわれています。

原則2.「筋肉トレーニング!」
太ももの前の筋力をつけることが大切です。
ここの筋力と、膝の痛みとは相反する関係にあります。
つまり、筋力を高めれば高めるほど、膝の痛みは和らいでいきます。

原則3.「膝に負担をかけない生活を!」
日常生活で膝に負担をかけないことです。つまり、しゃがんで仕事をしたり、重い荷物を持たないようにします。
また、なるべく階段を避け、床に座るより、イスに腰かけるようにします。
膝の痛みをかばうために、杖を利用するのもいい方法です。杖を持つ手は、悪い膝と同じ側です。
杖は整形外科でつくってくれます。

原則4.足もとを冷やさない!
靴下をはいたり、サポーターなどを利用して膝を冷やさないようにします。
毎日お風呂に入り、血行をよくすることも大切です。

 

4 膝痛をやわらげるには? -継続は力なり!-
変形性膝関節症は、膝に痛みをともないます。できることなら、一生痛みはあじわいたくないものです。
そこで、自宅で簡単にできる太ももの前の筋肉を鍛える運動を紹介します。
この運動は、筋肉を鍛えると同時に、関節軟骨の代謝も促進しますので柔軟性が増し、
膝が完全に曲がりきらない状態や、伸びきらない状態を予防するのにも効果的です。

ア.イスに座っておこなうトレーニング
イスに深く腰かけ、太ももとすねが水平になるまで、5秒間くらいかけて、ゆっくりと悪い方の足をあげていきましょう。
できるだけ膝をピンとのばしましょう。つま先も立てた方がいいです。
5秒間くらいかけて、ゆっくりと足を下ろしましょう。
これを20回を目標に、毎日10回くらいから続けていきましょう。
慣れてきたら、足首に500g~1kgの重りをつけて同様におこないましょう。
このとき、太ももの前の筋肉が硬くなっていることを、触って確認しながらおこなうことが大切です。

イ.床に座っておこなうトレーニング
膝の痛みのために、「イスを使ったトレーニング」ができない人は、両足を伸ばして床に座りましょう。
そして、悪い膝の下にタオルを丸めて入れ、そのタオルを膝の裏で思いっきりつぶすように、
床に向かってゆっくり押しましょう。
できるだけ、膝をピンと伸ばしましょう。つま先も立てた方がいいです。
ゆっくり力を入れ、5秒止めて、ゆっくり力を抜きましょう。これを20回を目標に、
毎日10回くらいから続けていきましょう。
太ももの前の筋肉が、硬くなっていることを、触って確認しながらおこなうことが大切です。

 

5 まとめ
膝痛を起こさないためには、普段の生活の中で、悪い習慣を正していくことが大切です(=生活習慣の見直し)。
肥満にならないように、気をつけましょう。
重い荷物を持たないように、心がけましょう。どうしても、持たなければいけないときは、
必ず悪い膝と同じ側の手で持ちましょう。
足もとや膝を冷やさないように、気をつけましょう。
精神的に、いらいらしないように気をつけましょう。イライラした時は、
コップ1杯の水を飲むとスッキリしますのでお試しください。
太ももの前の筋肉トレーニングを毎日小まめに行いましょう。

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