第7回 筋力トレーニングで若返り (H20.7.27)
最近、岐阜市の保健所が中心になって「高齢者に対する筋力トレーニング」を
地域の公民館などでおこなうようになってきました。
これは、岐阜市だけでなく全国的に広がりを見せている取り組みです。
舞台「放浪記」で有名な女優の森光子さん(88歳)は、12年前ごろから筋力トレーニングに取り組んでいるそうです。
現在ではスクワットを毎日150回もおこなって、ハードなスケジュールをこなせる体力を維持しているそうです。
みなさんも、是非森光子さんを目標に筋力トレーニングに取り組んでみませんか?
1.筋肉って何のためにあるの?
人間は全身に200個ほどの骨を持っており、その骨に400個ほどの筋肉が付着して関節を動かしています。
日常生活をする中で、歩くことや手を動かすことなど、大切な動きが沢山あります。
これら全ての動きは、筋肉の働きによってなされるものです。
若い間は、筋肉が発達しており、疲れ知らずで軽々と大きな仕事をこなせる反面、
年を取ってくると、筋肉が徐々に痩せてきて、すぐに疲れたり、関節の痛みを起こしたりとトラブルが連発してきます。
このように、筋肉は20~30代を境に、何も運動をしないでいると徐々に痩せてきます。
この痩せてくるのを防ぐのが「筋力トレーニング」なのです。
【東洋医学コーナー】
東洋医学では、筋肉を「肌肉(きにく)」と「筋」に分けて考えています。
肌肉とは、筋肉のやわらかくふくらんでいる部分を指し、筋とは、かたくすじばったところを指しています。
肌肉は、五臓の中の脾(ひ)が担当し、筋は肝が担当しています。
だから、肌肉が痩せてくるのは脾の病が原因し、筋の痙攣などは肝の病が原因していると考えています。
飲食・労倦(ろうけん)は脾の病を引き起こします。
また、いらいらしたり怒りっぽい性格は肝の病を引き起こします。
ここで言う飲食とは、暴飲暴食や偏った食事などのことで、労倦とは疲れのことを指しています。
2.筋力トレーニングをすることでどんな効果が期待できるの?
筋力トレーニングの効果の話をする前に、筋肉が痩せてくると人間はどのような状態になるのか、
について以下にまとめます。
- すぐ疲れて、動きたくなくなる。
- 肩こりや腰痛を初めとして、全身の関節の周りが痛くなり、病因にかかることが増えてくる。
- 階段の上り下り、布団の上げ下ろし、買い物で重い荷物を持つなどの動作が困難になってくる。
- 身体が冷えやすくなり、風邪をよくひくようになる。
- 小さな段差でも簡単につまずいて転んでしまう。これは、骨折の原因となります。
そこで、痩せた筋肉を鍛えることにより、以下のような効果が現れてきます。
- 疲れにくくなり、いろいろな仕事をする意欲がでてくる。
- 肩こりや腰痛、そして関節周りの痛みが和らいでくる。
- 手すりを持たなくても階段の上り下りがスムーズにできるようになったり、ちょっとした力仕事がおこなえるようになる。
- 身体が温かくなり、風邪をひきにくくなる。
- 小さな段差につまずいても転ばなくなる。
3.筋力トレーニングをする上で気をつけることは?
筋力トレーニングを誤った方法でおこなうと血圧が異常に上がったり、心臓が苦しくなったり、関節が痛くなったりします。
以下のことを必ず守っておこなうように心がけてください。
心臓に病気を持っていたり、血圧が高い人は、必ず主治医の先生に相談してください。
筋トレ体操の後に、自分の血圧を計っておくことも大切です。
- 声を出して数を数えながらおこなってください。息を止めておこなうと、血圧が必ずあがります。
- 各自が、必要に応じて水分補給できるように、ペットボトルか水筒に水かお茶を入れて準備しておいてください。
脱水症状を起こすことがあります。特に夏場は、熱中症の原因となります。 - 必ず筋トレ体操の前には、ウォーミングアップ、ストレッチ体操、
そして終了後はクールダウンをおこなうように心がけてください。
これにより、心臓や血圧のトラブル、そして筋肉痛などが予防できます。 - 体調が悪いと感じたときは、必ず筋トレ体操はおこなわないようにしてください。
- 足先の方向を必ず守っておこなうようにしてください。誤った姿勢でおこなうと、
関節にストレスが加わり、痛みを引き起こす原因となります。 - 関節に痛みがある場合は、おこなわないようにしてください。
4.毎日自宅でおこなう簡単筋トレ体操(初級編)
※毎日1つの体操を1日1回でいいですので各自の体力に合わせて5~10回ずつおこなってください。
日曜日は休んでください。
必ず、声を出しながら4つで上げて、4つで下ろします。
その後、太ももの外側をリズムに合わせてポンポンと2回たたいて筋肉を意識的にゆるめてください。
- イスに座ってのもも上げ体操(大腰筋の筋トレ) → 月曜・木曜
イスに座って、両手でイスの両サイドを持ちながら、右足の膝を胸に近づけてきます。
そして、再び床にゆっくり下ろします。
右足が終わったら左足をおこないます。 - 立っておこなうつま先立ち体操(下腿三頭筋の筋トレ) → 火曜・金曜
イスの背もたれや柱を持ちながら、両足でつま先立ちをします。
そして、再びゆっくり下ろします。 - 座っておこなう膝伸ばし体操(大腿四頭筋の筋トレ) → 水曜・土曜
イスに座って、両手でイスの両サイドを持ちながら、右足の膝を伸ばしていきます。
そして、ゆっくり下ろします。右足が終わったら左足をおこないます。つま先をピント立てながらおこなってください。
5.まとめ
筋力トレーニングを続ける上で大切なことは、「がんばらない」ことと、「あきらめない」ことです。
無理をして体調を崩してしまったらもともこもありません。あきらめないで毎日少しずつ継続していくことが大切です。
結果がでてくるのは、1年後くらいだと思っていてください。
また、普段の生活の中で食事や精神的ストレスは、筋肉に影響を与えます。
同じ与えるのであれば、いい影響が与えられるようなライフスタイルを心がけましょう。
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