第12回 快適な睡眠を得るために (H21.1.18)

1月も半ばを過ぎ、寒さに震える毎日が続いていますが、みなさん、お変わりありませんか?
健康講座も2年目を迎えました。
これからも引き続き、皆さんの健康をサポートしていけるような講座を目指して
スタッフ一同がんばっていきたいと思っています。
今回は、「寝付きが悪い」「夜中に何度かトイレに起きる」「朝早く起きてしまう」など、
眠りのトラブル解消法についてお話したいと思います。

 

1.睡眠って何?
睡眠とは、心と身体の疲れを取るために生まれながらに備わっている最も基本的な営みです。
これを大きく「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」の2つに分けて考えます。
ノンレム睡眠とは、ぐっすりと熟睡した状態の深い眠り、つまり「脳を休息させている眠り」です。
身体が目覚めていても脳は眠っているので、多少の音がしても目が覚めません。主に寝返りをうつときの眠りと言われます。
一方、レム睡眠は全身の力が抜けている状態の浅い眠り、つまり「身体を休息させている眠り」です。
身体は眠っていても、脳は目覚めているので、多少の音でも目が覚めます。主に夢をみているときの睡眠と言われます。
言い換えれば、ノンレム睡眠は精神的な疲れを、レム睡眠は肉体的な疲れを取る睡眠とも言えます。
一般的に寝ついた後は、ノンレム睡眠が集中的に現れ、その後ノンレム睡眠とレム睡眠が交互に現れながら朝を迎えます。

【東洋医学コーナー】
東洋医学では不眠のことを「不寝(ふしん)」と呼んでいます。
不寝を引き起こす原因には、心配事などで心が弱る(心虚)、食欲不振などで脾が弱る(脾虚)、
精神的ストレスなどで肝がたかぶる(肝実)、老化により腎が弱る(腎虚)などがあります。
心虚の症状は夢を多くみたり忘れっぽくなるなど、脾虚の症状は食欲不振や軟便など、
肝実の症状はいらいらしたり怒りっぽいなど、腎虚の症状は足のだるさや腰痛などが不寝に伴って現れるのが特徴です。

 

2.睡眠を妨げる原因は?
眠りのトラブルには、寝つきが悪い,夜中に何度も目が覚める,朝早く目覚めるという3つの特徴があります。
その主な原因を以下に記します。

① 環境に起因するもの
周囲の足音やいびき、ドアの開閉などの騒音。また、部屋が明るすぎたり、
室内の温度や湿度、そして寝具の状態なども不眠のもとになることがあります。

② 生活習慣の変化によるもの
長時間の昼寝や日中の運動量の減少、そして睡眠を妨げる嗜好品、例えばコーヒーや紅茶、
そして緑茶などの乱用も不眠をもたらします(特に夕食後)。

③ 精神的不安や緊張によるもの
イライラして興奮したり、心配事や不安などの精神的ストレスがあると、
目覚め中枢が興奮しますので、眠れなくなることがあります。

④ 身体的症状が原因で起こるもの
冷え、痛み、かゆみ、呼吸困難(咳など)といった不快な症状が眠りの妨げになることもあります。

⑤ 様々な病気が原因で起こるもの
高血圧、気管支喘息、五十肩、胃・十二指腸潰瘍、夜間狭心症、糖尿病、うつ病などが睡眠を妨げることがあります。

 

3.快適な睡眠を得るためには?
日常生活の中で、次のことをおこなうよう心がけてください。

① 朝日を浴びる
睡眠と目覚めのリズムは25時間と言われます。
地球の24時間周期にあわせるために、朝起きたらまず日光を浴びて体内時計をリセットしましょう。

② 適度な運動
昼間はなるべく歩いて買い物をしたり、筋力トレーニングをするなど、適度な疲れを感じる程度の生活を心がけましょう。

③ 熟睡できる寝室の条件
寝る直前まで部屋を明るくせず、少し暗めにすると鎮静作用が働いて眠りにスムーズに入っていけます。
眠る前は、テレビを消し、パソコンの電源も落とし、リラックスできる音楽をかけるのもいいでしょう。
寝室の温度は16~22℃、湿度は50%以下が理想的です。

④ 枕
高すぎても低すぎてもよくありません。自分の握り拳程度の高さが適当と言われます。
素材は、熱を発散する、そばがらやパイプ枕などがよいでしょう。最近は、低反発素材の枕などもよく売られています。

⑤ 敷きぶとん
やわらかすぎて、腰が沈むものは避けましょう。
晴れた日には、ふとんを干して、湿気を除去するように心がけましょう。

⑥ 夕食後の注意
夕食後にみかんなどの果物を食べると身体を冷やして不眠につながります。
また、カフェインを含んだお茶(緑茶や紅茶など)やコーヒーなど、刺激性のある飲み物は避けた方がよいでしょう。
カフェインを含まないお茶には、柿の葉茶・ルイボスティー・麦茶・韃靼蕎麦茶(だったんそば茶)・十六茶などがあります。
夕食後には、是非このようなお茶をおすすめします。
温かい牛乳には、入眠効果があるといわれています。
ほかに、カルシウム,ビタミンB群などを含む食品も有効であることが最近明らかになってきています。

⑦ 寝る前に少しぬるめの入浴を
寝つきを早め、眠りを深くするための効果的な方法として、眠る前の入浴があります。
身体の温度が高くなるほど寝つきは早く、深くなります。
冬場は40℃前後のぬるめのお湯に長めに20分くらいの半身浴が有効です。
入浴ができないときは足浴でも効果があります。

⑧ 就寝儀式を持つ
寝る前には必ず歯を磨く、日記をつける、本を読むなどの自分なりの就寝儀式をつくっておくことが
寝つきをよくするうえでは重要なことだといわれています。

⑨ 布団の中では足を冷やさない
布団の中で足が冷えているなと感じたら、靴下を履くなどして保温に努めてください。
足の冷えは眠りを妨げます。
冬場は、入浴後にはだしで歩き回ると、すぐ足は冷えてしまいます。
靴下を履くなどしてひやさないように努めてください。

 

4.眠りのトラブル・チェックリスト
次の中から該当するものを選んで、その数を数えてみてください。
その数が多ければ多いほど、あなたの身体は眠りにくい状態に傾いています。

  1. 朝日をあまり浴びることがない。
  2. 一日中、家にいることが多く、一日の歩数が2,000~3,000歩程度である。
  3. 買い物は車や自転車でいくことが多く、あまり歩いてはいかない。
  4. 1時間以上、昼寝をする。
  5. 寝室が明るすぎたり温かすぎる。
  6. 枕が高すぎたり熱がこもりやすい。
  7. 普段、敷き布団をあまり干さない。
  8. 夕食後にコーヒーや緑茶を飲んだり、果物を食べることが多い。
  9. 寝る直前にはあまり入浴をせず、朝や昼、そして夕食後などに入浴することが多い。
  10. お風呂は42℃前後の熱めの温度が好きである。
  11. 布団の中で足が冷たいとよく感じる。
  12. テレビやラジオをつけっぱなしで寝ることが多い。

 

5.まとめ
一日の生活の中で、睡眠は心身の疲れをいやす重要な場です。ですから心身が疲れていないと、なかなか眠りにつけません。
快適な睡眠を得るために重要な決め手になるのは、次の3つです。

  1. 毎日適度な疲れを感じるような生活を心がけましょう。
  2. 極力、自分から冷えを遠ざけるように努めましょう。
  3. 寝る前に少しぬるめの入浴(特に半身浴)をおこないましょう。

それでも眠れない方に一言!
目を閉じて、横になっているだけでも疲れは取れていくものです。
眠れないのは決して「悪」ではありません。
あまり神経質にならず、気軽な気持ちで、毎日の生活を送りましょう。

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