第37回 ヨーグルトで健康アップ (H23.9.25)

昨年の夏も暑かったですが、今年の夏もほんとに暑かったですね。熱中症の大量発生をはじめ、突発的なゲリラ豪雨や、台風12号による大水害など、日本の気候が昔に比べて徐々に変化しつつあるようです。
なかなかこの変化について行くのは難しいですが、少しでも快適な生活が送れるよう、少しずつ自分の生活習慣を見直していってくださいね。
今回は、今急速に関心が高まっている「ヨーグルトの健康パワー」について、皆さんと一緒に勉強したいと思います。

 

1.善玉菌と悪玉菌
ここのところ、日本人の食生活が欧米化していることなどから、大腸がんが増加傾向にあると言われています。
そこで、よく聞かれる言葉に、腸内の「善玉菌」と「悪玉菌」があります。
これらは、腸の中に棲(す)みついている細菌を、その働きからみた便宜的な言い方です。
名前の通り、身体によい働きをするのが善玉菌。悪い影響を与えるのが悪玉菌です。
腸の中では善玉菌と悪玉菌、そして、どちらにも属さない中間菌の仲間が、いつもひしめき合ってバランスを取っています。
悪玉菌は、腐敗物質や発がん性物質を生み出すなど、悪さが大好きです。
一方、悪玉菌軍団を抑え、腸を良好な環境にして健康を支えるのが、乳酸菌やビフィズス菌などに代表される善玉菌です。
また、中間菌は健康な時にはおとなしく、悪玉菌が優性になってくると、加勢して一緒に悪さを働きます。
善玉菌と悪玉菌のバランスは、食べ物、睡眠、ストレス、加齢などの影響を受けて変化しています。
腸内細菌の栄養源は、私たちが毎日食べている食べ物です。
母乳だけ飲んでいる赤ちゃんの腸内は95%がビフィズス菌で、圧倒的に善玉菌優勢の状態ですが、大人と同じ食べ物を食べるようになると、悪玉菌や中間菌が増えてきます。
その後、食べ物やストレスなどの影響により、互いの勢力が一進一退の攻防を繰り広げていきますが、普通に気をつけていても40代以降、徐々に悪玉菌勢力が優勢になる傾向があります。
下痢や便秘が続いたり、オナラが以前より臭くなったと感じたら要注意です。

【東洋医学コーナー】
東洋医学では、水穀(食物)が脾・胃(胃腸)で消化され、それによって得られた水穀の気(栄養物)が体内に取り込まれます。
そして、残ったものが小腸や大腸の働きで更に吸収されて、それが身体の免疫力になる衛気(えき)となっていくのです。
このように、東洋医学でも腸内は健康と深い関わりを持っていると考えられているのです。

 

2.若い腸と老化した腸の違いとは?
産まれたばかりの赤ちゃんの腸には、細菌はまったく棲んでいません。
ところが、授乳が始まると腸内細菌の数は急激に増え、授乳開始1週目ごろには、腸内細菌の95%以上がビフィズス菌で満たされます。
その後、離乳開始と共に、ビフィズス菌の数は徐々に減り始め、成年期には、ビフィズス菌などの善玉菌やバクテロイデスなどの中間菌の数が比較的多く、ウェルシュ菌などの悪玉菌の数が比較的少ない状態となって安定します。
しかし、老年期になると、善玉菌であるビフィズス菌の数が急激に減り、それに代わって、大腸菌などの中間菌や、ウェルシュ菌などの悪玉菌の数が増えてきます。
実際に、ビフィズス菌が多い赤ちゃんと、ビフィズス菌が減ってしまった大人やお年寄りの腸内を調べてみると、後者には腐敗物質であるアンモニアやインドールなどが多いことが分かります。
このように、腸の若さとビフィズス菌には深い関係があるのです。

 

3.ヨーグルトの歴史
世界初のヨーグルトは、およそ7000年前に存在したと言われており、生乳の入った容器に乳酸菌が偶然入り込んだのがはじまりだと言われています。
19世紀末、ロシアの医学者イリヤ・メチニコフ博士は、ヨーグルトを常食としている東欧のコーカサス地方の村に、長寿の人々が多いことに着目しました。
そして、伝統食であるヨーグルトが長寿の秘訣と紹介したことから、欧州を中心に世界中に広まりました。
一方、日本では飛鳥時代(562年)、朝鮮半島から仏教と共に搾乳の知識が伝えられ、仏典にも記述のある「酪(らく)」「酥(そ)」「醍醐(だいご)」といった乳製品が寺院などを中心に作られました。
これらはヨーグルトやバター、チーズなどの原型のようなものと推定されます。しかし、こうした乳製品は程なく途絶えていきました。
1915年、広島市のチチヤス乳業が日本初のヨーグルトを発売しました。しかし、一般に普及したのは戦後であり、1950年に明治乳業から発売された瓶入りの「ハネーヨーグルト」の発売によるものです。
なお、日本の明治乳業は、メチニコフの誕生日5月15日を「ヨーグルトの日」として宣伝しています。

 

4.ヨーグルトの驚くべき健康パワー
食べ過ぎや飲み過ぎ、ストレス、過労、風邪を引く、抗生物質を飲むなど。これらは、どれも腸の中の悪玉菌を増やして、腐敗物質や有害物質を発生させ、腸内環境を悪化させる原因になります。
ビフィズス菌をはじめとする善玉菌が多い状態だと、腸は元気に働いてくれます。しかし、悪玉菌が増えると、便秘や下痢をしやすくなり、便臭も強くなって、病気に対する抵抗力も落ちてしまいます。
こんなときこそ、頼りになるのが乳酸菌やビフィズス菌を含んだヨーグルトです。

☆ ヨーグルトの効果

(1) 便秘や便臭を改善
乳酸菌は、もともと腸の中にいるビフィズス菌などの善玉菌を増やして、お通じや便臭を改善し、腸を元気にしてくれます。
そればかりか、腸の免疫細胞に直接働きかけて、病原菌やがん細胞を攻撃する力を高めたり、アレルギーを抑制することも分かってきています。
また、便秘が解消されることにより「肩こり」や「肌あれ」なども改善され、全身が健康になっていくのです。

(2) 歯周病を予防
九州大学歯学部の口腔予防科学の教授の山下喜久氏らの研究チームは、福岡県の久山町に住む40~79歳の942人の男女を対象に、歯周病の症状と乳製品の摂取の関係を調べました。
それによると、歯周病が進行した患者は、進行していない人々と比べて、乳酸食品の摂取が少なかったことが分かりました。
乳酸食品を食べない人々と比較して、1日あたり55グラム以上のヨーグルトか乳酸菌飲料を摂取する人々は、歯周病進行のリスクがかなり低下していたそうです。
※ ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、酸を作り、歯の表面のエナメル質を溶かす要因になります。ノンシュガーのものでも、食べた後に歯を磨かないでいると危険です。体に良い食品でも、食後のケアは忘れないでください。

(3) 抗アレルギー作用
これまでに、乳酸菌には花粉症や通年性鼻アレルギーの症状緩和、アトピー性皮膚炎の発症予防などに効果があったことが報告されています。
しかも特長的なのは、乳酸菌は一時的にアレルギー状態を改善するのではなく、アレルギーになりにくい体質作りに役立つと考えられていることです。

(4) インフルエンザ感染率が大幅に低下
明治乳業などが出しているR-1乳酸菌を含むヨーグルト飲料を毎日飲んでいた佐賀県のある小中学校の児童・生徒は、インフルエンザの感染率が低かったことが分かりました。
インフルエンザの感染率を見てみると、ヨーグルト飲料を飲んでいた小学生は0.31%、中学生は0.64%で、飲んでいなかった周辺の地域(約1.3~10%)や佐賀県全体の平均(約2.6~4.4%)に比べ、大幅に低かったことが伺えます。
医療関係者は「驚くほど低い。乳酸菌で免疫力が上がった可能性がある」と話しています。

(5) 胃がんの原因であるピロリ菌対策
明治乳業などで発見されたLG21は、胃の中で働き、ピロリ菌を直接攻撃できる菌です。胃がんの心配や胃炎や胃潰瘍(かいよう)があって胃の調子が良くない人は、明治のプロビオヨーグルトLG21を試してみるといいかも知れません。

(6) ビフィズス菌で長生き効果
京都大学や協同乳業などのグループは、ビフィズス菌「LKM512」をマウスに与えると、与えないマウスよりも寿命が延びたとする研究成果を発表しました。
研究では、マウスに市販のヨーグルト約150㏄に含まれる量の菌を水に溶かして週3回投与したそうです。
すると、人の年齢で約70歳の時の生存率は、菌を与えたマウスが約80%、生理食塩水を与えたマウスが約30%となり、大きな差が出たそうです。
菌を与えたマウスは毛並みも良く、外見も若々しい印象になるなどの効果も見られたそうです。

 

5.まとめ
ヨーグルト以外に、乳酸菌を豊富に含む食品としては、チーズ、味噌や漬け物(ぬか漬け)、キムチ、ザーサイなどがあります。
それぞれ、含まれている乳酸菌が異なるため、効果も違います。なるべく、多くの種類の乳酸菌食品を食べることは、多くの効能が得られる上、飽きずに継続できるというメリットもあります。
なお、ぬか漬けでもキムチでも、5日以上漬けて熟成したものが、乳酸菌量も多いのでお勧めです。

☆ 善玉菌を減らさない3つのポイント

  1. 夜更かしをせず、充分な睡眠をとりましょう。
  2. 過度なストレスを避け、適度な運動の習慣を身につけましょう。
  3. バランスよく、規則正しい食生活を心がけましょう(肉食に偏らず、食物繊維やヨーグルトなども充分に!)。

私は、先月から明治のプロビオヨーグルトLG21と森永のビフィズスヨーグルトを買って、毎朝交互に食べています。
そのせいか、便通がよくなり、夜もぐっすり寝れるようになってきました。これから自分の身体がどう変わっていくか、楽しみにしているところです。
皆さんも、よかったら是非試してみてくださいね。 

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