第40回 血行改善につながる食生活 (H24.3.25)

皆さん、先月はお休みしましたがお変わりありませんか?
今月11日で、東北大震災が勃発して丁度1年を迎えました。未だに被災に遭われた方々、中でも、原発被害に遭われた方々の暮らしは深刻を極めています。一日も早く平安な暮らしが戻ってくることをお祈りしています。
さて、今回は健康で長生きするために不可欠と言われている「血行改善につながる食生活」について、皆さんと一緒に勉強したいと思います。

 

1.血管を老化させない食生活とは?
血管の老化は、動脈硬化を引き起こし、全身の血液の流れを悪くして、様々な病気につながっていきます。
そんな血管の年齢が、その人の健康状態を決定すると言っても過言ではありません。
血管の老化を引き起こす大きな要因は、偏った食生活です。
次の3つの原因によって引き起こされます。

① コレステロール値の上昇
動物性食品を多く取っていると、悪玉コレステロールのLDLが増え、動脈硬化が早まります。
動脈硬化は高血圧を引き起こし、最終的には心筋梗塞や脳梗塞などの病気につながっていきます。
また、逆に取り方が少なくても困ったことが起こります。
それは、動物性食品中にしか含まれていないと言われるビタミンB12の欠乏が起こるのです。
このビタミンB12が欠乏すると、貧血、全身が疲れやすい、夜眠れない、足がしびれる、変な感覚が出てきたり、感じ方が鈍くなったりなどの症状が現れてきます。
また、集中力低下や抑うつ状態なども起こり、認知症との関聯も深まります。更に、ビタミンの一種である葉酸不足が加わると、こうした傾向はいっそう顕著になると言われています。

☆ 葉酸を多く含む食品はレバーが有名ですが、それ以外に、新鮮な緑黄色野菜や果物などがあります。
☆ ビタミンB12は、ほとんどが動物性食品(肉・魚・卵・牛乳など)に含まれていますので、極端な菜食主義者や、動物性食品の摂取が少ないご高齢の方などが欠乏に至ります。

② 悪玉物質であるホモシステイン値の上昇
喫煙、高脂肪食や野菜の少ない食事、バランスの崩れた食生活などに加えて、高齢になることで血液中に「ホモシステイン」という悪玉物質が増えてくると言われています。
この物質の増加は、動脈系にダメージを与え、血管の老化を引き起こし、動脈硬化を早め、血液の流れを悪くする結果をもたらします。
ホモシステインの上昇を抑えるためには、特にビタミンB6、B12とコリン、葉酸を含んだ食事が大切になります。つまり、新鮮な野菜をふんだんに取り入れ、適切な量のタンパク質を含んだ食事が大切なんです。

☆ ちなみに、ビタミンB6を多く含む果物として「バナナ」が有名です。また、コリンを多く含む食品は「卵」や「大豆」などが有名です。

③ 偏った食事による抗酸化物質の不足
様々なストレスにより、体内で活性酸素が発生します。
この活性酸素は、血管の内壁を傷つけ、動脈硬化を早めます。その活性酸素を取り除いてくれるのが抗酸化物質です。
この物質は、様々な食品に広く含まれています。なので、偏った食生活を改め、バランスよく、様々な食品を食べることが大切です。

【東洋医学コーナー】
偏った食事や食生活の乱れなどを東洋医学では「飲食」と呼んでいます。
飲食は脾(消化・吸収)の働きを低下させます。脾の働きが低下すると、気(身体のエネルギー)・血(栄養分)の生成がうまくいかなくなり、血液の流れにも悪影響を及ぼすとされています。

 

2.血液をサラサラにする食生活とは?
次に血液をサラサラにするポイントを紹介します。サラサラ血液は、健康で長生きするための必須条件とも言えるものです。

① 水分をこまめに補給する
毎日、食事以外に1.5リットルの水かお茶を飲みましょう。これは、一度に取るのではなく、こまめにちょこちょこと取るのがコツです。こまめに取ることで、外出時の尿意を抑えることにもつながります。
毎日の水分補給が少ないと、血液はドロドロとなり、脳梗塞や心筋梗塞の危険性が高まるだけでなく、血液検査の値も上昇し、日常生活で困ったことが増えてきます。

② 長ネギ、玉ネギ、ニンニクなどのネギ類を食べる
ネギ類に含まれるアリシンには、消化を促進したり、殺菌作用や血液を固まりにくくする働きなどがあります。

③ 納豆を食べる
納豆には「ナットウキナーゼ」と言う酵素が含まれており、固まった血液を溶かして、サラサラ血液にする働きが確認されています。

☆ ご注意 ☆
脳梗塞や心臓病、その他の血管系の病気を持っている方で、「ワーファリン」と言う薬を服用している場合は、納豆がワーファリンの効き目をなくしてしまいますので、医師に相談なく食べないように気をつけてください。

④ 黒酢を料理に使う
中国の人々は、昔から「血管がしなやかになる」と言い伝えられ、黒酢をよく料理に使っていたそうです。
「黒酢」に含まれるメラノイジンと呼ばれる色素には、赤血球の形を柔軟に保つ作用があり、臨床試験で血行をよくする効果につながることが確かめられています。
また、血管を軟らかくする効果のある必須アミノ酸の一つであるヒスチジンが一般的な米酢に比べ、約15倍も多く含まれています。

☆ ご注意 ☆
ヒスチジンは、体内で肥満予防効果のあるヒスタミンと言う物質に変換されます。
しかし、結核の薬を服用している患者さんが、ヒスチジンを多く含む食品を食べると、ヒスタミン中毒症状があらわれることがありますから気をつけてください。
また、ヒスタミンに過敏なアレルギー体質(アトピー・喘息など)の方も、アレルギー様の症状を起こすことがありますので、主治医の先生に相談してください。

⑤ 卵を食べる
卵には、コリンが多く含まれています。血液を固まりにくくする働きと言うのは、このコリンの「乳化作用」によるものです。
悪玉コレステロールが増えると、血液が固まりやすくなり、動脈硬化などをもたらしますが、コリンを充分に摂取することで、コリンの持つ乳化作用によって、血液の流れがサラサラになって、酸素や栄養素などが体のすみずみまで行き渡ります。
最近、コリンとビタミンB12を一緒に取ることにより、認知症の予防につながるという研究が報告されています。卵には、ビタミンB12も含まれていますので、是非一日1個は食べるようにしましょう。

⑥ バナナを食べる
近年バナナは、免疫力の増強、血液サラサラ、腸内環境の改善などに役立つ働きが認められています。更に、バナナの熟成度によって、その作用の力が異なることも分かってきました。

⑦ その他
以上の他にも、ブロッコリー、トマト、黒豆、背中の青い魚など、多くの食品にサラサラ血液効果があると言われています。

 

3.バナナの効用
バナナはビタミンB6を多く含むことでも有名ですが、医学雑誌によると、バナナの熟成度によって、作用のパワーが異なるそうです。バナナは収穫した後、どんどん熟成が進むにつれ、黒い斑点が表れます。これがシュガースポットと呼ばれ、甘味が増した食べ頃のサインです。

① 青っぽいバナナは便秘解消に!
信州大学大学院農学研究科の細野明義教授によると、未熟で青いバナナは、消化しにくいデンプンが豊富なのだそうです。
そのため、消化酵素に分解されにくく、小腸で吸収されずに大腸に届いて、乳酸菌などの善玉菌の餌になるのです。
ヨーグルトやはちみつなどと一緒に食べると、便秘解消や腸内環境の改善に効果が高まります。

② 食べ頃バナナは血流の改善に!
食品総合研究所によると、成熟したバナナを食べる前と後では、血流が違うそうです。
血液中にナトリウムが増えてくると、血流は悪くなりますが、食べ頃のバナナは、カリウム・マグネシウムなどが豊富なため、それを食べることにより余分なナトリウムを排出し、血液サラサラ効果が高まります。

③ シュガースポット増加のバナナは免疫力アップ!
バナナが免疫力をパワーアップさせ、悪性腫瘍やガン細胞などを抑制するという研究に取り組んでいるのが、帝京大学薬学部薬学博士の山崎正俊教授です。
山崎教授の実験の結果、鮮やかな黄色をしている熟成4日目には、免疫効果が一旦減少します。
ところが、黒い斑点の増えた10日目に、その効果はピークに達します。
黒の斑点があるかないかで、免疫増強効果の違いは、なんと8倍にもなるのです!

④ 疲労回復や不眠に効果!
ウォーキングなどの後は、大量の汗をかいて、特にカリウムが不足します。
カリウムが不足すると、内臓機能が低下し、食欲不振やだるさ、疲れを招きます。
バナナは、このカリウムを初め、様々なミネラルが豊富なので、ウォーキングの後の栄養補給源としてぴったりなのです。
また、バナナには精神を安定させ、睡眠効果のあるセロトニンの材料となるトリプトファンと呼ばれる必須アミノ酸が豊富に含まれています。寝付きにくい夜には、バナナがおすすめです。

⑤ バナナのすじは抗酸化作用が高い!
もう一つ注目したいのが抗酸化作用で、ガンや動脈硬化の原因となる活性酸素を抑制する働きがあります。
金沢大学大学院・大久保一良客員教授らの研究により、身近な食品が持つ抗酸化力を50種類以上の食物について調べたところ、バナナが最も高かったそうです。
しかも、バナナのいろいろな部位について抗酸化能力を調べたところ、「すじ」の部分が最も抗酸化力が高いことが分かりました。
すじは、バナナ全体に栄養を運ぶ道です。すじも一緒に食べれば、パワーアップ間違いなし!

※ バナナの保存方法
バナナを冷蔵庫に入れてはいけません。バナナの適温は15℃。13℃以下に置くと、熟成しにくくなります。
バナナを谷型に置くと、上のバナナの重みで、バナナの一番下の部分がつぶれてしまいます。バナナ専用のバナナハンガーに吊るすか、山型に置きましょう。

☆ ご注意 ☆
ある種の結核の薬と一緒に食べると、中毒症状を引き起こす可能性があるそうです。結核の薬を飲んでいる方は、食べる前に医師に相談してください。

 

4.まとめ
大人の血液の量は、およそ4~5リットルです。
血液は、酸素や栄養素など、人が生きていくためになくてはならないものを、全身に運んでいます。
また、水分の量を調節する働きもしています。
そんな血液が流れる血管の長さは、人の場合、およそ約10万㎞にも及ぶと言われています。なんと、地球2周半にもなるんですよ。
血行改善につながる秘結は、血管を老化させないことと、血液をサラサラにすることです。これにウォーキングを加えると、更にパワーアップしていきます。
これからは、血管と血液の存在を大いに見直して、食事に気を配る生活スタイルを心がけてくださいね。

3月11日は、岐阜市の金公園を中心に、「さよなら原発パレード」が行われ、それに参加してきました。
1時間と少しの時間でしたが、およそ800名の参加があったそうです。小さな子供からご高齢の方々まで、いろんな年齢層の方が歩いていらっしゃいました。
今でも大きな地震が続いている、関東・東北地方ですが、原発の被害の拡大だけはなんとか防いで欲しいものです。
では皆さん、次回までお元気でお過ごしくださいね! 

前のページへは、ブラウザの戻るボタンでお戻りください。