5.高血圧って

さぁ、もう山場は過ぎました。重田塾第5弾は、血圧について。

血圧が低いのは、めまいや立ちくらみなどがない限り問題ないですが、高いのはそれだけで問題です。
常に循環系に負担がかかりますからね。

じゃあ、血圧とは何でしょうか? 字の通り「血液が血管を外に向かって押す圧力」です。
その種類には、最高あるいは最大血圧、そして最低あるいは最小血圧があるのは知ってますよね。
よく漫画で見るコブみたいな血管が膨れた部分が末梢に移動して行きますよね。
その太い部分が最高血圧、細い部分が最低血圧です。

この太さの違いはどこからくるかといえば、心臓が収縮し血液を送り出した時にコブができるので収縮期血圧ともいいます。
また、送り出した後に、次の収縮に向けて、心臓が拡張し血液を補給している時が細くなるので拡張期血圧とも言います。
心臓から送り出される血液量は変化しないのに、動脈硬化などで血管が硬くなり、コブに対して血管芽充分に伸展できないと、
いつもより狭いところを無理矢理に同じ血液量が通るのですから血圧は上がります。
そのような動脈を触れると、弾力性がなく、ピンとしたものが手に触れます。
また、高血圧の人は耳の前の浅側頭動脈が強く触れます。

さて、実際の血圧測定に入ります。
「高血圧」は、1回の診察では決まりません。
「白衣高血圧」といって、医師に測ってもらうと緊張して通常よりも高値を示す現象があるからです。
約20%の患者でみられます。 ですので、家庭での血圧測定が重要になります。
その際の注意事項としては、起床後1時間以内、排尿後、座位での測定と、就寝直前の測定が重要とされています。
さらにいえば、15分程度の安静後、上腕動脈で2~3回測定して、平均を取るのが基本です。

さて、その結果から下記の6段階に分けられます。

【成人における血圧の分類】
分類:収縮期血圧、拡張期血圧
至適血圧:120㎜Hg未満かつ80㎜Hg未満
正常血圧:130㎜Hg未満かつ85㎜Hg未満
正常高値血圧:130~139㎜Hgまたは85~89㎜Hg
軽症高血圧:140~159㎜Hgまたは90~99㎜Hg
中等症高血圧:160~179㎜Hgまたは100~109㎜Hg
重症高血圧:180㎜Hg以上または110㎜Hg以上

うーん、難しいですね。一応、用語を見直しておきます。最後の「高血圧」が3つに別れているのは大丈夫ですよね。
「正常高値血圧」は昔で言う「境界域高血圧」です。また、最初の「至適血圧」は、疫学調査により、
心血管系疾患の危険性が少ないとされており。すばらしい血圧という意味です。

さて、患者数を見ると、30歳以上で男性51.7%、女性39.6%もいます。
じゃあ、なぜ高血圧が起こるのでしょうか?
患者のうち、90~95%が明らかな基礎疾患のない本態性高血圧症です。
ただし、誘因として、遺伝的素因、食事環境(塩分の過剰摂取)、寒冷、ストレス、運動不足、肥満などがあります。
そして、原因となる疾患が明らかな症候性(二次性)高血圧症があります。
基礎疾患には、腎疾患、内分泌疾患、血管病変、薬剤性などがありますが、具体的な疾患は挙げません。

症状を見てみると、実は、自覚症状のないものも多いです。
頭痛、めまい、耳鳴り、肩こり、動悸、息切れ、手足のしびれ、顔がほてる、すぐ汗をかく、体がだるい、鼻血などを示します。
また、合併症として、脳出血、脳梗塞、虚血性心疾患、腎硬化症、網膜細動脈瘤がありますので注意を要します。

最後に治療です。
まずは生活指導です。精神的緊張により血圧が上昇するので、精神的ストレスを避けさせます。
適度な運動は血圧を下げる作用があります。
そして、食事療法です。食塩摂取量の制限が主眼です。1日7g以下を目指します。
動物性脂肪は動脈硬化を促進しますので、これを避け、代りに植物性脂肪を摂らせるようにします。
最後に食事指導で効果の現れないときには薬物療法です。
利尿剤:尿量を増やし血圧を下げます。
α1遮断剤:循環を安定させます。
β遮断剤:心拍を押さえ、血流を緩やかにします。
カルシウム拮抗剤:血管を拡張させます。
アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤:血圧低下、血管拡張の効果があります。。

血圧についてはここまでです。私たちが訓練を行う際、患者の状態によって禁忌だったり、注意を要することがあります。
その基準については、「アンダーソンなどの基準」というものがよく用いられています。

1.訓練を行わない方がよい場合
安静時脈拍120/分以上
安静時血圧収縮期200m㎜Hg以上または拡張期120㎜Hg以上
労作性狭心症または1ヵ月以内の心筋梗塞
明らかな心不全や著しい不整脈
訓練前既に動悸や息切れのあるもの

2.途中で訓練を中止する場合
脈拍140/分を越えた場合
血圧収縮期40㎜Hgまたは拡張期20㎜Hg以上の上昇
1分間10以上の期外収縮や頻脈性不整脈、あるいは徐脈
中等度の呼吸困難、めまい、嘔気、狭心痛の出現

3.訓練を一時中止し回復を待って再開する場合
脈拍:運動前の10%または120/分を越えた場合
(ただし2分間の安静で10%以下にならなければ中止又は負荷を軽くする)
1分間10以下の期外収縮の出現
軽い動悸や息切れ

今回はここまでです。どうです。失行・失認と比べれば簡単ですよね。

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