6.パーキンソン病って

重田塾第6弾は、パーキンソン病についてです。

「パーキンソン病」と聞いて思い浮かぶのは、おそらく年配の方は「芸術は爆発だぁ!」の岡本太郎さん、
若い方は、ふらつきながらも聖火リレーを行ったモハメドアリさんですよね。

さて、パーキンソン病といえば、錐体外路系の代表的な疾患で姿勢異常と不随意運動を呈する疾患です。
細かなことは後回しにして概論のお話し。
中年以降に発症します。男女比は1:1.5~2とされています。
原因は分かっていません。ただ、中脳の黒質という部分が変性萎縮したために
ドパミンの生成障害が起こっていることは分かっています。
が、なぜ黒質が変性するのかが分からないのです。ちなみに昔はドーパミンと言っていました。

さて、大切な症状です。
①振せん、②筋固縮(強豪)、③無動・寡動が3主徴です。
それぞれの具体的な話に入ります。

① 静止時振せん
パーキンソン病では、動きがない時の振せんが有名です。具体的には、丸薬を丸めるような運動を行います。
これは一側上肢に多いです。精神的緊張により増強されます。

② 筋固縮
筋肉が硬くなるために、鉛管現象、歯車現象、前傾・前屈姿勢、仮面様顔貌が見られます。
鉛管現象とは、例えば上肢の伸展・屈曲運動などを検者が行うとき、
運動の始めから終わりまで、ほぼ一様に被験者が示す抵抗感です。
昔の水道管に使われていた鉛の管を曲げるように、ずーっと「グニャー」とした抵抗感を感じます。
歯車現象とは、四肢関節の屈伸時に、歯車のように断続的にリズミカルな抵抗を感じる現象をいいます。
仮面様顔貌とは、表情のかたい顔です。

③ 運動減少
すくみ足、小刻み歩行(小歩行)、加速歩行、構音障害、動作緩慢などが見られます。
すくみ足とは、歩行開始の第1歩がなかなか踏み出せない状態です。
小刻み歩行とは、前屈姿勢で歩幅の狭い歩行です。。よくお年寄りに見られるチョコチョコとした歩行です。
加速歩行とは、歩行中に体が前方に傾き、足は次第に早くなりかけ足のようになる現象です。

④ 姿勢反射障害
突進現象(突進歩行)が見られます。
突進現象とは、立位の患者の背部を軽く押すと、前方へ突進し、急に停止することができない現象です。
ですので、お年寄りの背中を押してはいけませんよ。

⑤ その他
自律神経症状として唾液過多、手足の浮腫など、精神症状として抑うつ状態など、小字症などがあります。
治療としては、体内で産生の不足しているドパミンの前駆物質を補充するためにL-ドーパが投薬されます。
生命の予後は悪くないです。
ちなみにパーキンソン病と同じ症状を呈し、脳炎後や一酸化炭素中毒、脳血管障害を原因とするものを
パーキンソン症候群(パーキンソニズム)といいます。

さて、今回、「錐体外路」という新たな用語が登場しました。
実は、今まで学んできた片麻痺を起こすのは錐体路系の疾患とされています。
じゃあ、錐体路と錐体外路の違いは?となります。これまでの説明の通り、
両者とも運動に関わるのは、言うまでもないと思います。
実は、錐体路は意識下の運動、錐体外路は意識と無関係の運動なのです。

具体的な例を挙げてお話ししましょう。
「肘を曲げよう」と考えます。みなさん、もちろんできますよね。
が、この際、上肢の前側にある屈筋の上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋が収縮します。
同時に後側の伸筋である上腕三頭筋が伸展します。屈筋の3筋、それぞれの収縮具合を調整するのが錐体外路です。
ですので、錐体外路も運動に関与しています。
錐体路が障害されると、片麻痺が起こることはお話し済みです。
その際は、痙性麻痺となるのですが、運動させると、その抵抗感は、運動の終わりの時に強く感じます。
ですので折りたたみナイフ現象あるいはジャックナイフ現象と呼ばれています。
錐体外路の障害では、上記の鉛管現象や歯車現象などが見られます。
さらには、振せんなどの不随意運動も見られます。
今回はここまでです。

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