11.動脈硬化症って

前回は、脂質異常症の勉強でした。
今回は、その発展系で動脈硬化症です。これをきっかけに様々な疾患が起こります。しっかり覚えておきましょう。

動脈硬化症とは、動脈壁にコレステロールや石灰が沈着し、血管の弾力性が低下し硬くなった状態です。
動脈硬化の型には次のものがあります。

① 粥状硬化症(アテローム硬化症)
最も多いもので、コレステロールや中性脂肪が多い脂質異常症によって起こるもので、
動脈の内膜に脂肪のアテローム変性を生じ、血管が硬くもろくなるものです。
心臓の冠状動脈、脳の比較的太い動脈、手足の太い動脈に起こりやすく血栓を生じやすいです。

② 細小動脈硬化症
高血圧によって細小動脈の抵抗が高まり、発症するものです。
腎臓の血管、脳の比較的細い血管、眼底の血管などに起こりやすいです。

③ 中膜硬化症
主に内分泌障害によって動脈の中膜の平滑筋に石灰化が起こって硬化するものですが、
単独で起こることは少なく粥状硬化や細小動脈硬化を合併する場合が多いです。
動脈硬化を促進する因子として、脂質異常症、高血圧、糖尿病、痛風、喫煙、
運動不足、ストレス、肥満などがあります。気を付けたいものです。

 

動脈硬化が怖いのは、それが原因となって、次のような疾患が起きるからです。

① 冠状動脈硬化
虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、不整脈(期外収縮、心房細動、発作性頻拍)など。

② 脳動脈硬化
脳梗塞、脳出血、一過性脳虚血症(頭重感、めまい、物忘れ、抑うつ)、脳血管性認知症など。

③ 腎動脈硬化
慢性腎不全、蛋白尿、浮腫、乏尿または多尿、高血圧など。

④ 大動脈硬化
腹部大動脈瘤など。

⑤ 末梢動脈硬化
閉塞性動脈硬化症(間欠跛行)、下肢冷感、疼痛、壊疽など。

 

さて、動脈硬化を診断する方法としては、
① 血液生化学検査
コレステロール、トリグリセリド(中性脂肪)の上昇、HDLコレステロールの低下

② 眼底検査
血管の硬化性変化

③ 心電図
ST低下、T平低化または逆転、不整脈

④ 脈波
硬化性変化

 

治療についても学習しましょう。
① 食事療法
カロリー制限、減塩、低脂肪、低コレステロール食

② 運動療法の指導

③ 薬物療法
降圧薬

④ 外科的療法
血管再建術、バイパス手術、人工血管、カテーテルによる血管拡張術(バルーンやステント)、血栓除去など。
以上です。今回は短めですが、様々な疾患の原因になりますので要注意です。

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