14.くも膜下出血って
「重田塾」をHPにアップするのにあたり、整理していて「くも膜下出血を書く」と言いつつ、なかったのに気づきました。
くも膜下出血も大切な疾患ですので、しっかり勉強しましょう。
くも膜下出血は、名前の通りくも膜下腔に出血する疾患です。
じゃあ、くも膜下腔ってどこ?
脳および脊髄は、3枚の脳脊髄膜に覆われています。
脳・脊髄を直接覆う軟膜、頭蓋骨・脊柱管の内側に接する硬膜、そして、両者の中間にあるくも膜です。
くも膜下腔は、軟膜とその外層のくも膜との間の間腔です。
くも膜下出血は、脳血管障害全体の10~15%を占めます。
どこから出血するかといえば、脳動脈瘤の破裂によるものが最も多く(70~80%)、
次いで脳動静脈奇形の破綻(5~10%)で起こります。
脳動脈瘤の破裂は40~60歳に多いです。
それに対し、脳動静脈奇形の破綻は20~40歳に多いです。
脳動脈瘤の発生部位としては、前交通動脈瘤(30%)、内頚動脈瘤(25%)、
中大脳動脈瘤(21%)、椎骨脳底動脈瘤(6%)の順に多いです。
脳動静脈奇形とは、脳動脈と脳静脈の間に短絡があって、血管腫を形成し、血管は拡張迂曲しています。
動脈血が毛細血管を経ずに直接に静脈へ流入します。
病巣部の血流は増加しますが、周辺部は虚血に陥ります。
症状についてです。
① 突然の激しい頭痛(ハンマーでなぐられたような後頭部痛)、悪心、嘔吐
② 意識障害は伴う場合と伴わない場合があります。
③ 出血後24時間以上で髄膜刺激症状が認められます。
④ 片麻痺を生ずることが少ないのが特徴です。
⑤ 重症では急死することもあります。
一応、診断も勉強しておきましょう。
① CT
血腫や脳内出血の診断に有用。
② 髄液検査
髄液は血性ですが、キサントクロミーのこともあります。
③ 脳血管撮影
脳動脈瘤、脳動静脈奇形の血管写真所見が得られます。
さて、治療ですが
① 内科的療法
絶対安静。頭痛に対しては鎮痛剤投与。高血圧のある場合に降圧剤、
脳浮腫のある場合に脳圧降下のために副腎皮質ステロイドを投与(内科的療法のみでは30~70%が死亡するとされる)。
② 外科的療法
緊急手術(発作後24時間以内)、動脈瘤頚部クリッピング、出血除去、脳槽ドレナージ、脳室ドレナージ。
③ 生活指導
内科的療法が適応の場合は、再発をさせない生活指導。
手術により原因の処置をしないかぎり再発しやすいですし、再発した場合は予後不良です。
最後に髄膜刺激症状の話です。
髄膜刺激症状とは、髄膜炎やくも膜下出血などにより髄膜刺激状態がある時に認められる症状です。
具体的には、次のような症状があります。
① 頭痛
最も早期に認められます。
② 項部硬直
仰臥位で患者の頭部を持ち上げて前屈させると、項部に抵抗があり、痛みを訴えます。
③ ケルニッヒ徴候
仰臥位の患者の股関節と膝関節を各々90度に曲げ、次に膝関節の伸展を試みた時、
苦痛を訴え135度以上に伸びない場合を陽性とします。通常両側性に出現します。
④ ブルジンスキー徴候
仰臥位で頭部を前屈させた時に、股関節と膝関節が自動的に屈曲する現象です。
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