29.救命救急法って

仲間と話していて、下記もお伝えしようと思いました。
最近は、よく町内会などでも消防署が主催する「救命訓練」を見かけます。
しかし、なかなか自らすすんで参加できません。
訪問マッサージの患者様は、基本的には「ハイリスク」です。
万が一に備えて、適切な対処ができるように心がけておきましょう。

【救命救急のABC】
A:airway、気道確保
B:breathing、呼吸の確保(必要なら挿管して人工呼吸器につなぐ)
C:circulation、心マッサージ

【心肺蘇生術】
心臓マッサージが必要となる病態ではまず呼吸も停止しているので心臓と肺、
すなわち循環と呼吸の両方を再開させるという意味で心肺蘇生法という。
適応:心肺蘇生法の絶対適応は心停止と心室細動である。
また、心臓自体の問題も含め何らかの理由で収縮期血圧が50㎜Hgを割った場合にも適応となる。

1.一次救命処置(BLS:basic life support)
一次救命処置とは、心肺停止状態、ないしは心肺停止が切迫している患者に対し、最初の数分間に行うべき処置と定義される。
緊急時には高度な医療装置や薬剤が入手不可能であることが多いため、BLSは事実上、
「医療器材を用いる必要のない処置」と同義であるが、近年では自動式除細動器を用いた電気的除細動が
BLSの一環として考えられるなど、BLSの定義そのものが変遷しつつある。
心肺停止の現場には医師が偶然居合わせないことが多いので、一般市民でもこの一次救命処置については習得しておくことが期待される。

2.二次救命処置(ALS:advanced life support)
心停止あるいはその危機に対し、一次救命処置がなされながら医療機関へ搬送された傷病者にICUなどさらに、
高度かつ専門的な部門へ引き渡すまでの治療法のこと。

3.一次救命処置(BLS)の手順
① 心肺停止状態の患者は通常、脈がない、呼吸をしていない、意識がないの「3ない」状態にある。
このような現場に遭遇したら、まず呼びかけて身体を揺すったり、頬を叩いたりしてみる。
余裕があれば脈を頚部や鼠径部(大腿動脈)で触れてみる。鼻先に糸くずとかティッシュペーパー片を近づけて呼吸しているかどうかをみる。

② 危機的状況にあることがわかったら大声で周囲の人の助けを求める。
そのうちの一人には救急車の出動を求める電話を依頼する。

③ 堅めの平らな場所に患者を移す。衣服を脱がせる。

④ 口の中を調べて、吐物や気道閉塞物があればこれを除去する。
入れ歯があればこれも外す。胸骨を手拳で数回強打してみる。
まれに心拍が復帰する幸運に恵まれることがある。

⑤ 心臓マッサージを開始する。回数は1分間に60~80回を目安とする。

⑥ 人工呼吸を行う。心臓マッサージ5回に1回息を吹き込む。
吹き込む息が食道から胃の方へ誤入することなくきちんと気道に吹き込まれるよう注意する。
そのためには下顎を挙上し頭部を後屈させることが大切である。
みぞおちが膨らめば胃の方へ誤入していることになるし、胸郭が膨らめば正しく肺の方へ息が流入していることになる。

⑦ この動作を救急車到着までその場に居合わせた市民が行い、なお蘇生しない場合には
救急車内でも基本的には同じことを病院搬入時まで続行する。
救急車内では酸素投与、点滴、除細動まではできるようになってきている。

4.心臓マッサージ法
① 成人患者の場合には、救助者の手のひらの基部を患者の胸骨上で剣状突起から頭側2横指の位置に置き、
その上にもう一方の手を重ねて両腕の肘を伸ばした状態で垂直に圧迫を加える。
このとき患者の胸郭が4~5㎝沈下する程度がよい。
この手技でおよそ30~50㎏の圧力がかかる。
剣状突起に手のひらがかかったり、心臓が左にあるからといって胸骨左縁より左側を押すようなことをしてはならない。
剣状突起骨折や肋骨骨折で肝臓や肺の挫傷をつくりかねないからである。

② 体重10㎏程度の小児患者の場合には成人と同様の部位を片手で圧迫するが、
胸骨がやわらかすぎて時に心臓マッサージにならないことがある。
そのときには片手を背中にすべりこませて両手で胸郭を前後からはさんで圧迫すると効果がある。
乳児の場合は、左右の乳頭を結ぶ直線より1横指尾側の胸骨を指2本で圧迫する。

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