30.脊髄小脳変性症って

久しぶりに重田塾です。
今回は、施術者からの希望で「脊髄小脳変性症」についてです。
みなさんも「これが知りたい」というのがあればお聞かせください。
それでは、勉強をはじめましょう。

「脊髄小脳変性症」とは、小脳性もしくは脊髄後索性の運動失調を主症状とする神経変性疾患の総称です。
小脳は、平衡感覚、筋の緊張調節と運動の統合を行う中枢です。
脊髄後索は、長後索路、あるいは脊髄延髄路と呼ばれる触圧覚と深部知覚の伝導路があります。
だから「運動失調」が起こるのです。

さて、まずは成因です。
残念ながら不明です。
遺伝性(40%)のものと非遺伝性(60%)のものがあります。
どのような症状が見られるのでしょうか。
① 運動失調
起立・歩行障害(千鳥足歩行)、巧緻運動障害、構音障害、企図振せんなどが見られます。
② ジスメトリア
これは、目標に向けて運動を行うとき距離がうまく測定できず、行き過ぎたり足りなかったりするものです。
③ ジスジアドコキネシア
上肢の回内・回外運動が不規則でゆっくりになるものです。
④ 筋トーヌス
低下します。
⑤ その他
障害の部位により深部感覚障害、側弯症、起立性低血圧、パーキンソン様症状などが見られることがあります。

診断についてです。
① 頭部X線・CT・MRI
小脳や脳幹の萎縮を示します。
② 末梢血白血球の遺伝子診断
遺伝性のものの確定診断のために行います。

治療についてです。
残念ながら、根本的な治療法はありません。
それぞれの症状に対する対症療法を行うだけです。

最後に予後についてです。
病型により差はありますが、罹病期間は5~35年です。
このような患者様に出会った時、私たちは何を目標に、どのような施術を行うかについては、
研修会でみんなで話し合いましょう。

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